一筆啓上/法改正・新制度についてなど

行政書士業務における「マイナンバー記載書類」の取扱い方

行政書士が取り扱う「マイナンバー」記載書類とは

税理士や社会保険労務士に限らず、行政書士も「マイナンバー」が記載された書類を、あるいは記載しなければならない書類を取り扱うことがあります。

その代表的な例が「自動車重量税の還付申請書」です。

自動車重量税の還付申請を、今年の1月以降に依頼された場合には、当該申請書には申請者のマイナンバーを記載する欄が新たに設けられたため、行政書士はマイナンバーを取り扱うこととなります。(※自動車重量税は国税であり、その還付事務は、マイナンバーの利用範囲です。)

しかしながら、当該申請書(作成)提出行為は、「本人に代わって行っていること」であり、つまりは、依頼者本人以外の「他人」のマイナンバーを利用して行う事務の委託ではないので、たとえ、行政書士が依頼者本人から見て「他人」であっても、「個人番号関係事務」の委託には当たらず、したがって、行政書士には番号法12条に定める安全管理措置義務は生じません。

しかしこれを逆に言えば、行政書士は「個人番号関係事務」の委託を受けた者つまり「個人番号関係事務実施者」ではないので、原則としてはマイナンバー記載の書類を取り扱えないこととなるのです。

番号法違反にならない行政書士による「マイナンバー」記載書類の取扱方とは

では、どのような方法にて行えば、当該自動車重量税還付申請(書作成)業務を、番号法上の違反とならずに遂行できるのでしょうか。以下に、その方法を示します。

【パターン1】

「依頼者(本人)の「代理人」となる。」

「個人番号関係事務実施者」以外の者が、番号法上マイナンバー記載書類を合法に取り扱うためには、つまり、番号法上の、「(行政機関にマイナンバーを)提供」することができるためには、本人の「代理人」となることが必要です。「代理人」であれば、いわば本人と同じことになり、つまりは、「個人番号関係事務実施者」でなくとも、本人のマイナンバーを取り扱うことができるのです。

なお、この場合、提出先の行政機関(運輸支局)は、「代理人」である行政書士宛「委任状」、同じく行政書士の身元確認書類(番号カード(原本)または運転免許証など。)、それにプラスして、依頼者本人の番号確認書類(番号カード(写し可)、番号通知カード(写し可))により、当該申請書を受理するときに本人確認を行うこととなりますので、これらの書類、書面の遺漏がないように留意が必要です。

【パターン2】

「マイナンバー記載箇所のみ空白にして依頼者本人に渡す」

マイナンバー記載書類でなければ、番号法上の規制を受けませんので、これまで通りの行政書士業務と同様に遂行すればよいわけです。つまり、申請書にマイナンバーを記載しないのであれば、それを取り扱ったとしても、番号法上の何らの違反とはならないわけです。

まとめ

結局、行政書士における「マイナンバー記載書類」の取扱い方としては、

①本人の「代理人」となって取り扱う

②マイナンバー記載箇所は空白にする

のいずれかということになります。

実務上は、やはり、①の方法をとるほうが依頼者のためにはベターということになるでしょうか。(おわり)

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