建設工事の「一式工事」における“総合的な企画、指導、調整”を定義づける意味
建設工事は、ご承知のように、「土木一式工事」と「建築一式工事」の2つの「一式工事」と他の27の「専門工事」に分類されています。
「専門工事」については、それがどのような工事なのかということは、国の告示や通達(「建設業法第二条第一項の別表の上欄に掲げる建設工事の内容を定める告示(昭和47年建設省告示第350号)」、「建設業許可事務ガイドライン(平成 13 年 4 月 3 日国総建第 97 号)」)を見れば、その内容、例示によりだいたいわかりますが、この「一式工事」というのはそれを見てもよくわかりません。なぜならそこには、「土木一式工事」については、「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事」とあり、「建築一式工事」については、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と記載があるだけだからです。これでは、具体的に、どのような工事がそれに該当するのかがよくわからない、これが多くの建設業者、はたまた我々行政書士にとって、否、実は知事許可権限者である各自治体においても非常に“悩ましいもの”であることは否めない事実なのです。
つまり、そこにある“総合的な企画、指導、調整”というものはいったいなんのことを指しているのか、つまりその定義はどういうことなのかということが、これまで大いなる“ギモン”であったわけです。
ちなみに某自治体では、「建築一式工事」において、“総合的な企画、指導、調整”の定義を明確にしないまま、「建物の新築工事または建築確認申請が必要な程度の増改築工事のみが建築一式工事である」との独自の“定義”付けをしていますが、実は、「新築または建築確認申請が必要」ということを基準にすることは「危険」なのです。それはつぎのようなことがあるからです。
例えば、「プレハブ物置」 についてですが、これが、床面積が10㎡を超えるもので、防火地域・準防火地域以外の敷地に建てるものであれば、建築確認申請が必要となります。なお、「プレハブ物置」であっても、屋根を有し屋内用途に供されるものは建築基準法上「建築物」(※建設業法上「建築物」の定義はありません。)なので、それを「建てる」(※「置いた」ということでも同じ)ことは「新築」となってしまいますし、敷地的(建ぺい率などの視点から)には「増築」であり、いずれにしても「建築物の新築または建築確認申請が必要な程度の増改築工事」ということに当てはまってしまうことになるわけです。他方、繁華街等の防火地域・準防火地域においては、床面積が10㎡以内(※6畳程度以下)の増築工事であっても、それには必ず建築確認申請が要るということもあります。
しかしながら、おそらく各自治体の担当者は、完成した「プレハブ物置」を置くだけというものであれば「とび土工工事」、いや、そもそもそれは建設工事ではないなどと評価するでしょうし、6畳程度の増築工事であれば、「大工工事」、「内装仕上工事」、「屋根工事」など各々主体の工事とそれの附帯工事の組み合わせであるなどの評価をして、おそらくその工事が「建築一式工事」であるとの評価、判断をすることはないでしょう。
なぜなら、それらは“総合的な企画、指導、調整”のもとに行われる工事ではないから、ということがその評価、判断の基底にあるからではないでしょうか?
しかしながら、ではその“総合的な企画、指導、調整”の定義とは何かと問われれば、その答えには窮してしまうというのが現状なのではないでしょうか?
そこで、この際、そのような“悩み”、“ギモン”を解消すべく、公的な資料に基づいて、その“総合的な企画、指導、調整”というものの定義を明確にし、当該「一式工事」というものがどのような工事なのかをハッキリさせるため、そして、許可申請等の現場において、当該工事が「一式工事」であるということを証明するためにはどのような書面等を準備すればよいのかということまでを以下に書いてみました。
この記事をお読みのすべてのみなさまのお役に少しでも立てれば幸いです。
“総合的な企画、指導、調整”の定義の根拠となるもの
この記事を書いている現在(2019.8.1)において、当該“総合的な企画、指導、調整”の定義は、建設業法を所管する国土交通省から明確に提示されていません。
しかしながら、その“総合的な企画、指導、調整”という文言が表れた文書があります。それは、現在は発展的に改正されて(※現在は「一括下請負の禁止について」(平成28年10月14日国土交通省国土建第275号)になりました。)廃止されましたが、「一括下請負の禁止について(平成4年12月17日建設省経建発第379号)」という文書です。なお、これら新規通知と廃止された旧通知が同時に見られるのはこちらです。
当該廃止された旧通知には、「元請人がその下請工事の施工に実質的に関与していると認められるときを除き、一括下請負に該当します」という記述があります。改正された新規通知にも「元請人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく・・・一括下請負に該当します」とあります。そして、その「実質的に関与」の説明として、旧通知には、「「実質的に関与」とは、元請人が総合的に企画、調整及び指導(施工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するための工程管理及び安全管理、工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理、下請負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監督等)を行うことをいいます。」と書いてあります。
新規通知にも、「「実質的に関与」とは、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うことをいい、」とあり、さらに具体的なそれら事項についての記述があります。(※前出の通知文のリンクを参照下さい。)
つまり、元請人の役割とは、その実質とは、「総合的に企画、調整及び指導」を行うことである、ということなのです。
「一式工事」が、事実上「元請」工事である(※公共工事は一括下請負は禁止ですし、民間工事における合法的な一括下請負のケース(※個人住宅建築においてあらかじめ施主から書面で一括下請負を承諾する旨を受けている場合など)を除いては「一式工事」が下請工事に該当する事例は極めて少ないので。)ことから、当該元請人による「実質的に関与」の内容が、結局、“総合的な企画、指導、調整”の定義となるものと考えるわけです。
実は、この、筆者の考えと同じ考えの公的な文書が存在します。それは、静岡県交通基盤部建設支援局建設業課編集の「建設業許可の手びき(申請・変更)平成31年度版」の16pです。 以下のとおりです。
このように、“総合的な企画、指導、調整”の定義の根拠を公的な文書(国の通知文及び自治体の手びき)にて示したわけですが、これを定義することは、「建築一式工事」のみならず、当然「土木一式工事」というものがどのような工事であるのかをも理解できることになることは言うまでもありません。
さて、“総合的な企画、指導、調整”の定義付けができたところで、施工された工事が「一式工事」であるか否かの評価、判断は、やはり、この“総合的な企画、指導、調整”の定義を利用してすることが「安全」であり、そして最も腑に落ちるものであるということがお解りいただけたことと思います。
ほかには、施工された工事が「一式工事」であるとの評価、判断はないのでしょうか?
「逐条解説 建設業法解説 改訂12版」(大成出版社)の56pの記載には、「一式工事」は当該“総合的な企画、指導、調整”の下に土木工作物や建築物を建設する工事のほかに、「二つ以上の専門工事を有機的(※「有機的」とは、多くの部分が集まって一つの全体を構成し、その各部分が密接に結びついて互いに影響を及ぼしあっているさまのことをいいます。)に組み合わせて、社会通念上独立の使用目的がある土木工作物又は建築物を造る場合」、そして「必ずしも二以上の専門工事が組み合わされていなくても、工事の規模、複雑性等からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる場合」も「一式工事」に該当、含まれるとしています。先述の「建設業許可事務ガイドライン(平成 13 年 4 月 3 日国総建第 97 号)にも同様の記述があります。
しかしながら、これらの工事の場合でも、結局は、一つの専門工事としては施工できない工事であり、「解体工事」という一つの専門工事であっても、それが“総合的な企画、指導、調整”のもとに行われるのであれば「一式工事」になるという国の考え方(※先述の「建設業許可事務ガイドライン」中の記述)に鑑みても、やはり、「一式工事」か否かの評価、判断基準は、“総合的な企画、指導、調整”というものに依拠したほうがよいということに帰結することになるものと考えます。
「一式工事」であることを証する書面等の例(許可申請等における添付書面としての活用を念頭に)
さて、では、施工した工事が「一式工事」であるということを証明する、そのための書面というもの、つまりは当該工事が“総合的な企画、指導、調整”のもとに行われた工事であることを証する書面等というのはどのようなものがあるのでしょうか?
それは、先の、国が出した通知「一括下請負の禁止について」(平成28年10月14日国土交通省国土建第275号)にその内容があります。以下はそれを筆者がまとめたものです。
これがどういう意味を持つのかというと、許可申請者側及び許可権限者である各自治体担当者にとって、工事名称等からはそれが「一式工事」であることが判然明白でない場合に、その評価、判断の拠りどころとしてこれら書面等の“揃い具合”を「使える」ということです。
これらの書面等のすべてが揃うということは、必要でないものもあったりして、困難であろうとは思いますが、当該施工した工事が「一式工事」であるということを証明する一助にはなるものと思いますので、ご参考まで。
◇ 「一式工事」であることを証する書面等の例 ◇ |
・工事施工計画書
・工事施工要領書(下請業者作成のもの) ・工事施工報告書(下請業者作成のもの) ・工事の安全確認協議組織の設置が確認できる書類 ・主任技術者の配置が確認できる書類 ・工事発注者との協議・調整が確認できる書面(メモ等) ・工事全体のコスト管理が確認できる書類 ・工事施工に関する近隣住民への説明実施が確認できる書類 |
建設業法の一部を改正する法律の施行及び運用について (建設省計建発第四六号 昭和四七年三月一八日)
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/013/74000364/74000364.html
法第26条の2の趣旨について
(1) 建設工事を施工する建設業者は、すべて法第26条第1項又は第2項の規定により主任技術者又は監理技術者を置かなければならないが、当該工事が土木一式工事又は建築一式工事である場合においては、そこに置かれる主任技術者又は監理技術者は、一式工事の構成部分をなす各専門工事を総合的に管理するものであって、当該一式工事の構成部分である各専門工事の施工についての技術上の管理をつかさどる技術者の設置とは別個のものである。
したがって、これらの専門工事の適正な施工を確保するため、当該専門工事をみずから施工するときは、当該専門工事に係る技術者を置かなければならないこととされたものである。
(2)(中略)
(3) また、土木一式工事若しくは建築一式工事の構成部分である各専門工事を施工する場合(中略)において、当該工事に係る技術者を置いてみずから施工することができない場合には、当該建設工事に係る許可を受けた建設業者に当該工事を施工させなければならないこととされている。
上記は、専門技術者または建設業許可を有する下請負人の主任技術者の配置についての説明を抜粋したものですが、一式工事については、こちらの解説の方が私には分かりやすかったです。
以下の法律はかなり古いですね。
●建設業法の一部を改正する法律の施行及び運用について (建設省計建発第四六号 昭和四七年三月一八日)
(1)国土権275号(平成28年10月14日)において、第22条の丸投げ禁止から入り込み第26条が大きく見直されています。https://www.mlit.go.jp/common/001149208.pdf
注目重要用語:「独立に機能する工作物」、「実質関与」、「元請けでは工事全体における主任技術者の配置が必要である」等
(2)工事全体のうちで、建物とは独立に機能している工作物(冷凍機、空調機、ガスタービン、ポンプ等)の専門工事を元請が下請けに丸投げするのは禁止です。元請けにも管工事・電気工事・機械器具設置工事に係る主任技術者を配置せよとの条文が国土権275号にあります。⇒技術指導「工事全体にわたる主任技術者の配置」
(3)「建築工事1式」は法律的に定義されていない曖昧な用語で気を付ける必要あります。例えば「煙突」のある建物はいろいろあります。工場・焼却場・火葬場・北海道地区の1般家庭等いろいろあります。煙突は建築士が設計出来ますか。煙突は建物に付随していますが独立に機能をしている工作物です。熱力学・流体力学を知る専門家でないと設計できないです。工事も管工事の資格を有する監理技術者ないしは主任技術者でないとできません。元請けにそういう専門家がいないと下請けが施工した工事の完成検査では専門的に「メクラ印鑑」となりますよ。 技術士事務所より
(建設業法上の業種でないことは承知ですが)「電気一式工事」「電気通信一式工事」というのも定義できそうですよね。というのは、「インフラ事業者(一般送配電事業者や電気通信事業者等)が、その事業の用に供するインフラ設備」に対する工事の場合、「総合的な企画、指導、調整を行う事業者」と「現場で実際の施工を行う事業者」というのが明確に分かれているためです。前述2種類の事業者を、「電気工事」「電気通信工事」と十把一絡げで考えてしまうことは、逆にわかりづらいような気がします。
コメント有難うございます。
ご承知のように、昭和24年5月の建設業法制定以来の最初の大改正が昭和36年5月にあり、その時はまだ登録制で現在の許可制ではありませんでしたが、その際に、「総合工事業者」のみが請け負うことができる業種区分として、「土木一式工事」と「建築一式工事」が規定され(総合工事業者登録制度の創設)、それ以来、「一式工事業」つまり「総合工事業」は、当該「土木」と「建築」の2つのみとなって現在に至るようです。
おっしゃる通り、現在では、電気及び電気通信も「一式工事」となる要素は多分にあるものと個人的には思いますが、法改正に至るまでには色々と難題があると聞き及んでおりますので、なかなか難しいようですね。
電気通信工事を担当する従業員から書き込みがありました。ありがとうございます。私も技術士事務所を営む技術屋の1人ですので、少し話をしたいと思います。
(1)建設業法の中の、「総合的な企画、指導、調整を行う事業者」という言葉、および「建築工事1式」よいう言葉がありますが、法律的にこれだと定義がありません。近年は技術が高度に分化していますから、この言葉を基にうまいことしようとは思わない方が賢明です。どうも建設業法は、国土交通省(旧建設省)が主体に作成した法律なので、建築士や建築施工監理技師や土木施工監理技師が、優位に仕事ができるように仕組まれている部分があり気にしています。しかし、「建築工事1式」という言葉ありとて、自分の専門を逸脱して専門外の工事が担当できるわけなないのです。建築士、建築施工管理技士、土木施工管理技士は電気工事・電気通信工事・管工事・機械器具設置工事・消防設備工事等、経済産業省の管轄の工場で製造された「機械工作物や電気工作物」の工事はできないのです。機械工作物や電気工作物とは、エンジン・発電機・モートル・ポンプ・空調機・ショーケース・通信機・ATM装置・インターネットシステム等です。これは工業高校での、機械科・電気科・電子科に対して建築科や土木科が何が異なるかを考えれば自明ですね。
(2)いろいろの行政書士事務所のサイト・ブログを閲覧していますが、「建築工事1式」で建設業法の登録しても、これは万能でなく、注意しなさいと記載されていますね。
(3)戦後いろいろの法律ができました、昭和22年には「児童福祉法」が制定され、その後まもなく昭和24年には「建設業法」が制定されました。このころの住宅・事務所・学校・市役所は、木造でありコンクリート建物ではないでした。便所も水洗でなく汲み取り、水道も手押ポンプ式の井戸、照明はランプが主体で白熱電球は少ない状態、鉱石ラジオの時代で、現在のインターネツとは想像もできないでした。風呂も現在の自動ガス炊き式でなく、薪が燃料の木桶式の風呂でした。つまり建物に付帯する設備は貧弱で電気などで自動化されていない状態でしたね。こういう時代では、建築士が主体で総合的に建物を面倒を見ても専門的には、それほど逸脱しない範囲の仕事で問題が少ないと思われます。
(4)しかし今の時代は非常に進歩し、経済産業省(旧通商産業省)の管轄での工場生産設備が主役で活躍しているのです。現在の太陽電池システム、燃料電池システムなど当時は想像できないでした。コンビニやスーパーでのカード生産システムやレジ打ち装置も想像できない。銀行のATMも想像出来ない。物流業界でのFA式自動倉庫も想像できない。電算機センターも想像できない、波止場近辺での大型冷凍倉庫や農業関係の大型保冷倉庫も想像できないでした。このように文明の利器が建物に入り込み、むしろこれが主体に稼働している時代です。こういうものは建築士や建築施工管理技士の専門外の工事であることをまず認識する必要があります。
(5)よく考えtると、コンビニ・スーパー・電算機センター・大型冷凍倉庫は建設業法には該当しないと私は考えています。「工業的専用システム」なのです。建築士や建築施工監理技師は、雨に耐える箱体を提供するのみで仕事は終わりです。最初施工し、これが壊れるまで仕事はないのです。むしろショーケース・空調機・ATM装置・電算機装置・照明設備・これに伴う中央通信監視システム等は最初の工事が終了しても、絶えず監視をして毎日メンテしていかねばならない重要な設備で、主役なのです。
(6)結論は、経済産業省の管轄する工場生産設備に関係する、電気工事・通信工事・管工事・機械器具設置工事。消防設備工事等は建築物や土木の工事とは異質で、独立させて、経済産業省の管理の下で、「設備搬入据付工事」として移管をし、別に管理をすべき工事と考えているのです。建築士や建築施工管理技士が、「総合的に企画・運営・調整する事業者」という文言をもとに、経済産業省の管轄する設備がわかるように手を出してきていることは大きな違反行為なのです。
(7)ここは、私たちが見守らないとならないです。菅首相が「既得権益・前例主義、縦割り省庁の弊害」と言い始めていますね。行政事務所は、今後は国土交通省以外に経済産業省の両方に出向くのが正解と考えているのです。これについては、行政事務所や関連ある技術屋さんが集まり協議して、国にアクションしていく時期に来ているのです。あまりにも現在の建設業法はいろいろのものをごちゃまぜに取り込み、現場の実体を考えていない。=以上=
> コンビニ・スーパー・電算機センター・大型冷凍倉庫は建設業法には該当しないと私は考えています。「工業的専用システム」なのです。
「電気通信工事」という括りにおいても、「データセンター工事に建設業許可が必要であるという現実に疑問がある」という趣旨のパブリックコメントを見たことがあります。
また、「機械器具設置工事における電機大手(日立製作所・東芝・三菱電機等)や電気通信工事における大手SIer(NEC・富士通等)のように、大半の専業建設事業者より一部の大手兼業事業者のほうが経営事項審査の評点が高くなっている業種が存在する」という事態も発生していますね。これもまた、現行の建設業法が制度疲労を起こしている証左なのかもしれません。
電気通信工事従業員様、コメントありがとうございます。
(1)私と同じような見解をお持ちですね。経済産業省の管轄の工場で生産製造された機器や設備やシステムは、「工業的専用システム」で建築とか土木とは異質な専門工事です。つまり、機械器具設置工事、管工事、電気工事、電気通信工事、消防施坪工事等がこれに該当し、これらの工事は経済産業省に移管すべき考えています。土木技師は土台を作り、建築技師は建物の個体を最初に提供すれば、大改造まで工事はありません。これに対して「機械工作物」、「電気工作部」は施工したあと毎日稼働しメンテ作業も常時行うシステムです。具体的には、コンビニのショーケース、空調機、ATM装置、レジ打ちシステムがそれに該当します。実は、これらの設備やシステムは、昭和24年の建設業法が施工された後、新たな研究開発により電機製造会社等で開発製造された文明の発晨に伴う利器・設備なのです。これらが、なんとなく建物に存在するので「建設業法「」に含まれて監理されているだけなのです。これらの工事は「設備搬入据付工事法」として経済産業省に移管すべきと考えています。
(2)今小生は、経済産業省に意見具申を始めたばかりです。具体的な回答はまだありませんが、大分考え始めています。これには行政書士事務所や皆さんの大きなバックアツプが必要です。国会議員を通した請願をかける必要もあるでしょう。一度、四本行政書士事務所に集まり勉強会をしませんか。
(2)ついでながら指摘しておきます。コンビニ建設工事は、ハウジングメーカーのD社が前に立ち建設業法の扱いで、建築施工監理技師が主体で工事しています、これは間違いです。建築施工監理技師は機械や電気や通信を工事する資格を有していません。ショーケース・空調機・ATM装置・レジ打ちシステムが主体の専門工事の取り扱いにすべき工事なのです。=以上=
技術士事務所より
通信工事に関しては、「経済産業省がやるのか、総務省がやるのか」という政治マターの問題も出てきそうです。電気通信は、旧通産省と旧郵政省の時代から、両省の管轄権が近接する分野であり続けています。過去にも「1980年代前半における、付加価値通信をめぐる縄張り争い」等、「両省の縄張り争いを原因として、電気通信サービスの在り方が政治的理由により制約された」という例が少なからずありまして…
設備や部品の製造及びそれに関連する工事は、いつも専門性を重要視して計画することが重要と考えます。例えば、電気通信工事を行う場合、電子部品が存在しますが、その電子部品は電子部品製造工場で生産されますが、その製造工場を管轄し、当該部品の品質を工業標準化法に基づいて監理できる担当省庁はどこかを考えることが重要です。つまり工事が終了後、事故が起きた際には、設備や部品の製造番号をもとに原因を追究していくことになると考えています。とした場合、製造工場を知り、工業標準化法をもとに原因を追究できるのは経済産業省でないかと思うのです。さらに、電気通信工事の資格を有する人は、経済産業省管轄の製造業で製造された設備や部品の経験をもとに資格の取得をしてきたのでないでしょうか。ここでいつも疑問視しているのは、建設業法の管轄部署である許可行政庁が国土交通省管轄の土木監理課であることです。土木監理課は製造工場を知らず、また電子部品を管理できる工業標準化法を知らない部署と思わないですか。 技術士事務所より
行政書士 四本事務所御中
建設業法は法文だけでは理解が難しく、技術者の専門性を重要視した法律ですから、各専任技術者(監理技術者・主任技術者)の専門範囲がどのようなもので、何を担当できるか、その逆に何が担当が出来ないかを正確に把握することが重要ですね。例えば建築士・建築施工管理技師は機械器具設置工事・管工事・電気工事・電気通信工事・消防設備工事は専門外で担当することは出来ないのです。これらに該当するものを製品や設備で言うと、空調機・給湯器・照明設備・電源設備・通信設備・発電設備・エンジン・モートル・ブロワー・消火設備などで、これらの工事は専門外で担当できません。このことを法文の中では具体的に明らかにしていないのです。また国土交通省や許可行政庁の発行する各種の資料などにも明示されていない。だからいつも曖昧で、建設業者はついつい違反をしているのですね。建築工事1式の中に、これらの工作物、つまり『国土建275号』の中の記述である『建築物とは独立に機能する工作物』が介在する場合は、それぞれの専門を有する機械器具設置工事・管工事・電気工事・電気通信工事・消防設備工事の監理技術者・主任技術者を新たに配置して、建築士ないしは建築施工管理技師と協力して共同で作業をしなければならないと言うのが、『国土建275号』の改訂の中の元請の義務『工事全体のおける主任技術者の配置』という文言なのと思いますね。この辺の具体的な確認を、関係する行政書士同士さんが集まり勉強会をしたらいかがでしょうか。
BC事務所
建設業法の発行当初と思いますが、法律的に定義されていない「建築工事1式」という文言を発行してしまいました。これは「建築工事」に改定すべきです。1式は不要です。いろいろな面で曖昧で誤解を招きます。事例を以下に記載します。
(1)「煙突」はよく見かけます。家庭用から工場建物や廃棄物処理場についています。この煙突は専門範囲外の建築士ないしは建築施工管理技士は設計はできません。
(2)「煙突」は熱工学や流体工学の知見を得た技術者でないと設計できない。熱工学や流体工学の知見を得た技術者は、そのまま管工事の資格を取得できます。建物とは別に「煙突」は建物に付随していますが管工事の資格を有すものが行うべき工事です。
(3)専門は争えないもので、この辺の技術的な専門の違いを技術者は認識する必要はあり、許可行政庁は、その上に立ち指導ができないとならない。しかし許可行政庁の担当は2年交代の公務員で、この辺の技術的な識別が甘く、運用がうまくできていないと思われます。
(4)行政事務所には、この辺の指導をお願いしたいところである。
ABC技術士事務所
四本行政事務所様へ
現在、中小企業への建設業法上のコンサルティングの仕事をしていて、今回の建設業法の書き込みに興味があります。『国土建275号』で重要な文言は2点で、①「他の部分から独立に機能を発揮する工作物」、および②元請においては、『建設工事全体にわたる主任技術者の配置』です。
ところで「建築工事1式」の文言は、法律的に定義されていず曖昧で問題が多いと考えていました。そこで平成28年10月14日発行の「国土建275号」をもう少し深堀してみたいと思います。この「国土建275号」は法律家、弁護士だけでなく、技術的専門家も参加しているようで非常によく出来た改訂と判断します。従来の建設業法の22条及び26条2の2は、「国土建275号」の解釈と運用を正確に行えば、懸念は解決できると考えます。
(1)先ず重要なことは技術者の専門性の再確認です。建築士および建築施工管理技師の専門の守備範囲は以下であるということです。▲建築士および建築施工管理技師は建築工事の全29業種の全部を許可されてはいない技術者なのです。管工事・電気工事・電気通信工事・機械器具設置工事・消防設備工事は行うこと出来ないのです。これを公務員(土木監理課)は熟知していないと思われます。具体的に申し上げますと経済産業省関係の物つくり、つまり工場で生産された製品を現場に据付ける工事(正確には建設業とは異質の「設備搬入工事」です)が建設業法に中に紛れ込んでいて、専門的にいい加減な管理がされていたのです。工業高校を卒業した人であれば、土木工学科・建築工学科に対し機械工学科・電気工学科が歴然と異なることが分ります。土木工学科・建築工学科は大地を加工し、その上に建築部材を組み立てていく現場加工の仕事です。工学的には「静力学の世界」です。機械工学科・電気工学科はエンジン・水車・発電機・モートル・給湯器・空調機・照明設備などを製造し、これらを組み合わせて工場・事務所・家庭を便利にする仕事なのです。工学的には回転体を主体とする「動力学の世界」です。エンジン・水車・発電機・モートル・ブロワー・給湯器・空調機・照明設備の据付には、必ず管工事や電気工事や機械器具設置工事が絡みます。しかし建築士や建築施工管理技師は、これらの専門でないにもかかわらず「建築工事1式」という文言を元に、卑しくも空調機・給湯器等の管工事や電気工事に手を出していたのです。大きな違反行為なのです。国土交通省(旧建設省)も、『建築工事1式』という法律的に定義されていない文言を発行して、これを暗に容認してきたものと思われますね。健全でないです。
(2)さて『国土建275号』の検証に入る前に、建設業法の22条と建設業法の26条2の2(建築工事1式)について考えてみたく思います。22条と26条2の2とを絡み合わせて考えると何かが分ります・。
(3)26条2の2には『建築工事1式を施工する場合において、・・・・・(元請が)当該工事現場に技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係わる建設業の許可を受けた建設業者(下請け)に当該建設工事を施工させなければならない。』とあります。
⇒これは元請には建築士あるいは建築施工管理技師のみの配置でも、管工事業者や電気工事業者の許可を得た下請けに、本体の建築工事以外の管工事や電気工事を任せても(丸投げしても)良いという解釈を与え、これは専門的には危険で違反行為なのです。
(4)22条には『建設業者は,受け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない』とだけあります。漠然としていますね。▲懸念点は、全体を一括して丸投げするのでなく、1部なら逃れられるという解釈がされて危険なことなのです。
(5)ところで『国土建275号』の改訂で、従来の一括下請けで追加の重要事項があります。それは以下です。『建築工事の1部であって他の部分から独立して機能を発揮する工作物』と言う文言です。
⇒この他の部分から独立して機能を発揮する工作物の具体的に事例は多いと思いますが、先ず明確なのは前述した『エンジン・水車・発電機・モートル・ブロワー・給湯器・空調機・照明設備の据付等で、管工事や電気工事や機械器具設置工事』が絡むものがあります。これは極めて明確な他の部分(建築物)から独立した工作物です。
(6)『国土建275号』の改訂で、もう1点の重要事項は、元請には『建設工事全体における主任技術者の配置』です。
▲元請の技術的指導では、受請った建設工事全体における主任技術者の配置等、法令遵守や職務遂行の確認、現場作業に係る実地の総括的技術指導が必要です。重要な文言は、『建設工事全体にわたる主任技術者の配置』の『全体にわたる』です。詰り建築工事の中に建物の建築だけでなく、水道ポンプの配管工事があるならば、元請には管工事の主任技術者を建築士と同席し、また照明設備があれば元請には電気工事主任技術者を建築士と同席して共同で仕事をしなさいということなのです。▲つまり下請けに管工事や電気工事を行わせた場合、元請に管工事や電気工事の主任技術者がいなければ、下請けの指導は建築士のみでは出来ない丸投げ行為なのです。
(7)『国土建275号』の改訂を元に、22条の一括下請けに新たに導入された、『他の部分から独立に機能を発揮する工作物』が何かを認識し、この工作物を管理できる主任技術者を建築士以外に新たに同席させれば、26条2の2が存在しても、元請けでの建築士のみの違反行為は改善されるはずです。
(8)この辺の専門性からみた管理を国土交通省は、今まで十分に管理していないと思われます。甘く容認していたので、顧客である国民には良いサービスが行き届かないところが生じていたものと思います。
行政書士四本事務所御中
本公開書はよくまとまりを得ています。実は小生は技術士事務所として建設業に係わる仕事をしています。また建設業法上の監理技術者(管工事および機械器具設置工事)です。数年前から技術者として建築工事1式を気にしていたのです。某許可行政局(土木監理課)に、建築工事1式はおかしいので、運用に気をつけないと危険と何度もアドバイス指導をしていたのです。
(1)現在においてハウジングメーカーで、「建築工事1式」の文言を元に、この言葉を隠れ蓑に違反行為をしています。
(2)建築士・建築施工監理技師は、管工事や電気工事や電気通信工事を行う資格を所有してないにも係わらず、建築図面に自ら、電気配線工事部分の図面、水道配管工事部分の図面、電気通信工事部分の図面を記載し、これらを下請けに丸なげし、最終確認検査の際にも建築士は当該部分の資格を有しないにも係わらず、電気工事や配管工事や電気通信工事部分の検査をしています。これは大きな違反行為です。
(3)建設業法の26条および22条は専門的には欠陥条文です。旧建設省と建設業界との癒着条文だと見ているところです。国土建275号が出来て改善されてきたとはいえ、土木監理課の担当のレベルが2年交代の公務員ですから、専門的な理解ができず、業界に十分な遵守をさせるに至らない状態なのです。
現在このような状態では顧客によいサービスは提供できないのです。国民主体ですから許可行政や省庁は国民が安心できる行動をとらないと成らないですね。技術士事務所MY
コメント有難うございます。
現場に携わっていらっしゃる専門家からの書き込みに嬉しくなりました。
国の制度設計と現場、特に当該制度を利用する国民との現実的な乖離は著しいものがありますね。
今後も、国民の側からの目線を大切に行政書士業務を行っていきたいと思っています。