さて、令和になってからの建設業法令の改正ラッシュには付いて行けない感じの方々もいらっしゃるかと思いますが、当方も、自分のための“備忘録”とか、それこそ“まとめ”的な意味でここに書き留めておこうと思い本稿を作成することとしました。関係各位のご参考になれば幸いです。
なお、本稿は、昨年3月の当方の拙稿「【久しぶりの大改正】改正建設業法等案が閣議決定されました!【2019.3.15】」の続編、つまりは当該改正建設業「法」の解説はもとより「経営業務の管理責任者」(法第7条)の緩和措置等の具体的事項が記載された、その後発出の「省令」さらには「政令」(※一部はすでに施行されていますが、大部分は令和2年10月1日もしくは令和3年4月1日施行です。)についての一定程度詳細な解説編でもありますことをあらかじめ申し上げます。
「令和」になってからの一連の建設業法令の改正の概要
ここでは、建設業「法」、建設業法「施行令」(政令)、建設業法「施行規則」(省令)に分けて書いてあります。
施行日がそれぞれ異なったり同じだったりしますが、とにかくこの3つ(法・政令・省令)を整理しておこうと思います。
まずは、建設業「法」の改正事項の“まとめ”です。なお、全ての事項ではなく重要事項を抜粋していますのであしからず。
建設業「法」
★令和元年6月改正
・許可基準の見直し(第7条関係-新たな経営管理責任体制の構築-)
・地位承継規程の新設(第17条の2及び第17条の3関係-譲渡及び譲受・合併及び分割・相続)
・請負契約における書面の記載事項の追加(第19条関係-工事を施工しない日又は時間帯の定め-)
・著しく短い工期の禁止(第19条の5、第19条の6関係)※改正予定施行令の項を参照
・監理技術者の専任義務の緩和(第26条関係)※改正予定施行令の項を参照
・主任技術者の配置義務の合理化(第26条の3関係)※改正予定施行令の項を参照
・技術検定の見直し(第27条関係-技士補・技士-)※改正予定施行令の項を参照
・工事現場の標識掲示義務の緩和(第40条関係)
※令和2年10月1日施行予定
※「技術検定の見直し(第27条関係-技士補・技士-)」のみ、令和3年4月1日施行予定
つぎに、建設業法「施行令」(政令)の改正事項の“まとめ”です。
建設業法「施行令」(政令)
★令和2年5月改正
・著しく短い工期の禁止規定違反の際の勧告の対象工事の請負代金の額の下限(新施行令第5条の8関係)
・監理技術者の専任義務の緩和(新施行令第28条、第29条関係)
・主任技術者の配置義務の合理化における下請人の主任技術者配置が免除される「特定専門工事」の規定等(新施行令第30条関係)
※令和2年10月1日施行予定
★令和2年5月改正
・技術検定の見直しにおける技術検定合格者に与えられる称号(技士補・技士)について等(新施行令第34条、同40条関係ほか)
※令和3年4月1日施行予定
そして、建設業法「施行規則」(省令)の改正事項の“まとめ”です。
建設業法「施行規則」(省令)
★令和2年2月改正(許可等にかかる書類の見直し・経由事務廃止・ガイドラインの改正)
★令和2年3月改正(経審の技術力評価対象の追加・告示及び事務取扱(通知)の改正)
※両方とも令和2年4月1日にすでに施行されています。
★令和2年6月改正(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものの基準策定(社保加入要含む)・事業承継・相続に係る認可手続・経審評価項目の追加等)
※令和2年10月1日施行予定
このほか経審審査基準改正で令和3年4月1日施行予定のものがあります。下記の通りです。
◆W10-知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(基準日前1年間における当該建設業者に所属する建設技術者のCPD取得状況及び基準日前3年間における能力評価基準でレベル2以上にアップした建設技能者の雇用状況-)の新設
◆W5-登録経理士講習関係-の改正があります。
「令和」になってからの一連の建設業法令の改正の概要の『解説』
以下、「解説」です。
建設業「法」改正の主な事項
○ 許可基準の見直し(第7条関係-経営管理責任体制-)
<改正の趣旨>
★「経営業務管理責任者」という名称は廃止。
これまでのように、一人の者に建設業の経営業務管理責任を担わせるのではなく、複数の者に当該経営業務管理責任を担わせることとすることになりました。また、省令により社会保険の加入が許可の基準に加わりました。
なお、現在社会保険に未加入の業者さんが改正法施行日(令和2年10月1日)を迎えた場合にはどうなるのでしょうか?また、現在社会保険未加入の業者さんで改正法施行日(令和2年10月1日)を迎える前に新規許可又は更新許可を取得し、その後に当該改正法施行日を迎えたらどうなるのでしょうか?
これについては、改正法の附則第2条2項に「この法律の施行の際現に建設業法第三条第一項の許可を受けている者又は前項の規定によりなお従前の例によることとされる同条第一項の許可若しくは同条第三項の許可の更新を受けた者については、当該許可の有効期間の満了の日までは、引き続き第一条の規定による改正前の建設業法(次条において「旧建設業法」という。)第七条第一号に掲げる基準に適合する限り、第一条の規定による改正後の建設業法(以下「新建設業法」という。)第七条第一号に掲げる基準に適合するものとみなす。」となっており、つまりは、それらの場合でも、許可の有効期間の満了日までは許可の取消しなどにはならないということです。
<新たな経営管理責任体制(「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」(旧経管のことです。)の基準>
(※なお、この“基準”は令和2年10月1日から施行予定の省令(施行規則)にて規定されるものです。)
以下の①及び②の要件を満たすもの。
① つぎのイ)又はロ)のいずれかの体制を有するものであること。
イ) 常勤役員のうち1人(法人の場合)又は本人かその支配人(個人の場合)が(a1)~(a3)のいずれかに該当する者であること。
(a1)建設業(業種関係なし)に関し5年以上の(旧)経管の経験を有する者
(a2)建設業(業種関係なし)に関し(旧)経管に準ずる地位にある者として5年以上の経営業務管理経験を有する者
(a3)建設業(業種関係なし)に関し(旧)経管に準ずる地位にある者として6年以上の(旧)経管を補助する業務に従事した経験を有する者
ロ) 常勤役員のうち1人(法人の場合)又は本人かその支配人(個人の場合)が(b1)か(b2)のいずれかに該当し、かつ、その者を直接に補助する者として(c1)~(c3)に該当する者をそれぞれ(※(c1)~(c3)は1人が兼ねても良い。)置くこと。
(b1)建設業(業種関係なし)の「財務管理」、「労務管理」、「業務運営」のいずれかの業務に関して建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業(業種関係なし)の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
(b2)建設業(業種関係なし)の「財務管理」、「労務管理」、「業務運営」のいずれかの業務に関して建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の(建設業以外の業の)役員等の経験を有する者
(c1)許可申請を行う建設業者(以前所属の建設業者でも可)において5年以上の「財務管理」の経験を有する者
(c2)許可申請を行う建設業者(以前所属の建設業者でも可)において5年以上の「労務管理」の経験を有する者
(c3)許可申請を行う建設業者(以前所属の建設業者でも可)において5年以上の「運営業務」の経験を有する者
② 健保、厚生年金及び雇用保険に関し全ての適用事業所又は適用事業についてその届出を行った者であること。
○ 地位承継規定の新設(第17条の2及び第17条の3関係-譲渡及び譲受け・合併及び分割・相続)
<改正の趣旨>
★これまでは、「建設業者の合併に係る建設業法上の事務取扱いの円滑化等について」(国総建第309号)という通達において「合併」に関する取扱いが規定されていたが、許可においてどうしても空白期間ができてしまっていました。
そこで今般、当該「合併」のみならず、「分割」による許可の承継や許可に係る建設業の「譲渡及び譲受」そして個人の場合における許可の「相続」についてなどの国土交通大臣または都道府県知事の「認可」を受けた上での地位の承継に関する規定を新設されました。
★なお、法人のみならず個人においても許可(建設業)の「譲渡及び譲受」は可能であり、個人においてはさらに許可(建設業)の「相続」も可能となるというわけです。
★「認可」申請書類は、従来の許可申請書類と同様のものとなります。(※既提出種類除く。)
★「認可」する行政庁は以下のとおりとなります。
◎ 国土交通大臣となる場合
・承継元(被相続人を含む)が大臣許可を受けている(た)とき
・譲受人(相続人を含む)が大臣許可を受けているとき
・譲受人(相続人を含む)が承継元(被相続人を含む)と違う都道府県知事の許可を受けているとき
◎ 都道府県知事となる場合
・承継元(被相続人含む)が都道府県知事の許可を受けている(た)とき
・承継元(被相続人含む)及び譲受人(相続人含む)とも同じ都道府県知事の許可を受けているとき
※なお、「相続」については、被相続人の死亡後30日以内に「相続人」(※2人以上いる場合は、その全員の同意により被相続人の営んでいた建設業の全部を承継すべきとして選定された者)が「認可」申請をしなければなりません。
※なお、当該相続に係る「認可」申請をすれば、当該「認可」を受ける日または「不認可」の通知を受ける日までは、被相続人の許可はその申請者である相続人に対してしたものとみなされます。(つまり、当該相続人はその通知を受ける日までは、個人の建設業許可業者であるとみなされるわけです。)
「譲渡及び譲受け」・「合併」・「分割」に係る認可申請手続における書面等は以下のとおりです。
(※令和2年10月1日施行予定の省令(施行規則)にて規定。)
【譲渡及び譲受け】
◎譲渡人及び譲受人の「連名」で申請書を提出する。
◎通常の許可申請に準じた書類及び以下の書類を添付する。
・譲渡及び譲受けに関する契約書の写し
・譲渡人及び譲受人が法人の場合には、譲渡及び譲受けに関する株主総会や社員総会の決議録、無限責任社員もしくは総社員の同意書又は譲渡もしくは譲受けに関する意思決定を証する書面
【合併】
◎合併する関係者の「連名」で申請書を提出する。
◎通常の許可申請に準じた書類及び以下の書類を添付する。
・合併の方法及び条件が記載された書類
・合併契約書の写し及び合併比率説明書
・合併に関する株主総会若しくは社員総会の決議録、無限責任社員もしくは総社員の同意書又は譲渡もしくは譲受けに関する意思決定を証する書面
【分割】
◎分割する関係者の「連名」で申請書を提出する。
◎通常の許可申請に準じた書類及び以下の書類を添付する。
・分割の方法及び条件が記載された書類
・分割契約書(新設分割の場合には分割計画書)の写し及び分割比率説明書
・分割に関する株主総会若しくは社員総会の決議録、無限責任社員もしくは総社員の同意書又は分割に関する意思決定を証する書面
<その他「承継」手続に関する留意事項>
※認可申請書の提出先が国土交通省大臣となる場合において、都道府県知事許可を受けている認可申請者は、当該認可申請を行った旨都道府県知事に届出をすることとなります。
※大臣及び知事は、上記書類の他必要があると認められる書類の提出をさせることができるとされました。
※地位承継者が建設業者の場合等においては提出書類の一部省略が可能とされました。
※認可を受けた地位承継者は、健保、厚生年金及び雇用保険に関し全ての適用事業所又は適用事業についてその届出を行ったことを示す書面等を提出しなければならないとされました。
「相続」に係る認可申請手続における書面等は以下のとおりです。
(※令和2年10月1日施行予定の省令(施行規則)にて規定。)
・申請者と被相続人との続柄を証する書類
・申請者以外の相続人の同意書(※申請者以外に相続人がいる場合)
・相続した者が建設業者として適正な者であることを担保する書類等その他の添付書類、提出書類の一部省略や必要があると認められる書類の提出をさせることなどについては、上記「承継」の場合と同様です。
○ 請負契約における書面の記載事項の追加(第19条関係-工事を施工しない日又は時間帯の定め-)
<改正の趣旨>
★いわゆる「働き方改革」の一環での改正事項。工事を施工しない日や時間帯を定める場合も有ることを考慮し、それを定める場合には、契約書面の法定必須記載事項としました。
○ 著しく短い工期の禁止(第19条の5、第19条の6関係)
※改正予定施行令の項も参照。
<改正の趣旨>
★これもいわゆる「働き方改革」の一環での改正事項。注文者はその注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないとされました。
★また、「一定の金額」以上の建設工事の請負契約を締結した発注者がこの規定に違反した場合は、国土交通大臣等が当該発注者に対し必要な勧告をすることができるとし、当該勧告に従わない場合はその旨を公表できることとされました。
※「一定の金額」については、改正予定施行令の項を参照のこと。
○ 監理技術者の専任義務の緩和(第26条関係)←注目事項!
※改正予定施行令の項も参照。
<改正の趣旨>
★「建設現場の生産性の向上」という改正の柱の一つの中での「限りある人材の有効活用」という側面からの改正事項です。
★工事現場への専任が求められる監理技術者について、その職務を「補佐する者」を、「改正予定施行令で定める数」を超えない当該工事現場に専任で置くときは、当該監理技術者は専任でなくともよいこととされました。
※「補佐する者」と「改正施行令で定める数」については、改正予定施行令の項を参照のこと。
○ 主任技術者の配置義務の合理化(第26条の3関係)
※改正予定施行令の項も参照
<改正の趣旨>
★これも「建設現場の生産性の向上」という改正の柱の一つの中での「限りある人材の有効活用」という側面からの改正事項。「専門工事一括管理施工制度」と呼ばれるものです。
★「特定専門工事」の元請人と下請人の合意(※この「合意」をしようとするときは予め注文者の書面(電磁的記録によるものもOK)による承諾を得なければならない。)により、元請人の主任技術者を当該下請人の行う工事に配置して下請人の主任技術者の職務を行うものである場合には、下請人は当該工事について主任技術者を配置しなくてもよいこととされました。
★なお、この制度を利用する場合の元請人が配置する主任技術者は、当該「特定専門工事」と同一の種類の建設工事に関して、①一年以上の指導監督的実務経験を有する者で、②当該工事現場に専任の者、でなければならないとされました。
★また、この制度を利用する場合、元請人は前述の「補佐する者」を置いての現場掛け持ちは不可、そして下請人は、さらに下請をさせてはならないことともされました。
※「特定専門工事」とは、一式工事以外で、その施工技術が画一的で、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図るものであって、下請施工金額の合計が一定の金額未満となる工事をいいいます。なお詳細は改正予定施行令の項を参照のこと。
○ 技術検定の見直し(第27条関係-技士補・技士-)
※改正予定施行令の項を参照
<改正の趣旨>
★これも「建設現場の生産性の向上」という改正の柱の一つの中での「限りある人材の有効活用と若者の入職促進」という側面からの改正事項です。
★技術検定をこれまでの「学科」と「実地」から、「第一次」と「第二次」とに再編し、それぞれの検定合格者に称号を与えることとした。なおこの「称号」の詳細については、改正予定施行令の項を参照のこと。
○ 工事現場の標識掲示義務の緩和(第40条関係)
<改正の趣旨>
★その他として、工事現場における下請業者の建設業許可証等掲示義務を緩和することとされました。
★なお、当該許可証等の記載事項等については今後見直しを検討しているとのことです。
建設業法「施行規則」(省令)等改正の主な事項
○ 許可等にかかる書類の見直し・経由事務廃止・ガイドラインの改正
(施行規則第4条1項2号、同10条2項及び3項、同6条、同11条、同19条の6第2項、同20条5項、同21条の2第3項関係)
※「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものの基準」等は「法」の改正の箇所を参照ください。
<改正の趣旨>
★「許可等にかかる書類の見直し・ガイドラインの改正」については、以下の表のとおりです。なお、国土交通省土地・建設産業局建設業課長から各都道府県建設業主管部局長あてに発出された今般の改正通知(国土建第462号 令和2年2月20日付け)はこれです。
※ただし、営業所への通勤が困難と思われる場合などは追加資料として住民票の写し等が求められる場合があります。
★「経由事務廃止」については、国土交通大臣あて許可申請及び経営事項審査の申請等において、都道府県を経由して国土交通大臣に書類を提出することとしている規定を削除しました。しかし、一部の都道府県においては経由事務は事実上残存します。なお、これにより、国土交通大臣許可申請に対する処分までの標準処理期間はおおむね90日程度を目安とすることとなりました。ただし、経由事務残存自治体への申請の場合にはこの限りではありません。
★「経審の技術力評価対象の追加・告示及び事務取扱(通知)の改正」については、新たに「建設キャリアアップシステム(CCUS)に蓄積される就業履歴や保有資格を活用した「技能者能力評価基準」に基づく、そこでの評価の「レベル4」と「レベル3」の者の数を、経営事項審査の「技術力」において加点評価することとしました。(施行規則第18条の3関係)
なお、施行規則上は「登録基幹技能者講習を修了した者に準ずる者として国土交通大臣が定める者の数」というものを追加する改正です。
なお、当該改正(加点の状況)は以下の表のとおりです。
(※国交省資料・ウェブサイトより引用)
★当該「技能者能力評価基準」と建設業の種類の対応表は以下のとおりです。
※なお、「有資格区分コード」欄は、「レベル3」技能者が「703」、「レベル4」技能者が「704」となります。
※本書執筆時現在認定されている当該「技能者能力評価基準」(※35業種)については、こちら(国土交通省内のページ)を参照ください。
○ その他
< 経審審査基準の改正 > ※令和3年4月1日施行予定
◎W10-知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
(基準日前1年間における当該建設業者に所属する建設技術者のCPD取得状況及び基準日前3年間における能力評価基準でレベル2以上にアップした建設技能者の雇用状況-)の新設
<改正の趣旨>
★以下のとおりです。
(※「経営事項審査の審査基準の改正について」(国土交通省)より引用。)
◎W5-登録経理士講習関係-の改正
<改正の趣旨>
★以下のとおり。
(※「経営事項審査の審査基準の改正について」(国土交通省)より引用。)
建設業法「施行令」(政令)改正の主な事項
○ 著しく短い工期の禁止規定違反の際の勧告の対象工事の請負代金の額の下限(新施行令第5条の8関係)※令和2年10月1日施行予定
<改正の趣旨>
★改正建設業法にて、「一定の金額」以上の建設工事の請負契約を締結した発注者がこの著しく短い工期の禁止規定に違反した場合は、国土交通大臣等が当該発注者に対し必要な勧告をすることができるとし、当該勧告に従わない場合はその旨を公表できることとしたが、当該「一定の金額」の下限は500万円とした。(※建築一式工事である場合は1,500万円)
○ 監理技術者の専任義務の緩和(新施行令第28条、第29条関係)※令和2年10月1日施行予定
<改正の趣旨>
★工事現場への専任が求められる監理技術者について、その職務を「補佐する者」を、「改正予定施行令で定める数」を超えない当該工事現場に専任で置くときは、当該監理技術者は専任でなくともよいこととされたが、当該「補佐する者」とは、今般の技術検定の見直しによりその第一次検定の合格者に与えられる称号の、1級の「技士補」等のことであり、「改正施行令で定める数」とは、2とすることとされた。
○ 主任技術者の配置義務の合理化における下請人の主任技術者配置が免除される「特定専門工事」の規定等(新施行令第30条関係)※令和2年10月1日施行予定
<改正の趣旨>
★「特定専門工事」の元請人と下請人の合意により、元請人の主任技術者を当該下請人の行う工事に配置して下請人の主任技術者の職務を行うものである場合には、下請人は当該工事について主任技術者を配置しなくてもよいこととされ、また当該「特定専門工事」とは、一式工事以外で、その施工技術が画一的で、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図るものであって、下請施工金額の合計が一定の金額未満となる工事をいうものとされたが、当該「特定専門工事」とは、大工工事又はとび・土工・コンクリート工事のうちのコンクリートの打設に用いる「型枠」の組立てに関する工事及び鉄筋工事とすることとされた。
★また、当該「特定専門工事」の対象とする下請施工金額の合計額は3,500万円とすることとされた。
○ 技術検定の見直しにおける技術検定合格者に与えられる称号(技士補・技士)について等(新施行令第40条関係ほか)※令和3年4月1日施行予定
<改正の趣旨>
★技術検定を、これまでの「1級」、「2級」のみから、各級・各種目別に「第一次検定」と「第二次検定」というものに再編し、「第一次検定」の合格者には「技士補」、「第二次検定」の合格者には「技士」の称号を与えることとした。
★また、これまで「建設機械施工」という検定種目名であったものを「建設機械施工管理」とすることとした。(※新施行令第34条)
なお、この経過措置として、令和3年3月31日までに「建設機械施工」の検定に合格した者は改定後の「建設機械施工管理」検定に合格したものとみなすこととし、また、令和3年3月31日までに、1級又は2級の学科試験に合格し、この施行令施行の際、現に学科試験の免除を受けている者(免除を受けることができた者を含む。)については、免除される期間内に限り、施行令改正後の1級又は2級の「第二次検定」の受験資格を有する者とみなすこととした。
★その他、「電気通信工事施工管理」を除く他の検定種目の受検手数料を以下のとおり引き上げることとした。
以上、少し長かったのですが、概要はこんな感じです。
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