一筆啓上-所長のつぶやき-

【新情報掲載!】【確定しました!そして提言します!】「解体工事」と「一式工事」の区別と公共工事発注時の問題点

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新情報!(平成28年10月19日記載)

平成28年10月18日付けにて、当事務所が所在します千葉県におきまして、当事務所のクライアント様の申請におきまして、「家屋解体工事」以外の下記のような「解体工事」の10年の実務経験のみにて、「解体工事業」の許可が下りました!

・「既設壁・SS(ガソリンスタンド)解体工事」

・「シャッター撤去工事」

・「屋根・石綿撤去工事」

・「クレーン軌条解体工事」

・「クレーン解体工事」

・「槽撤去工事」

・「試験装置撤去工事」

これは、少なくとも、千葉県においては、「解体工事」の定義が、「家屋解体」以外の「解体工事」をも含むということを意味します。

これを機に、実務経験のみで、経過措置期間を気にすることのない、資格区分「02」で「解体工事業」許可申請を考慮中の業者の方、そして行政書士さんはご参考にしていただければ幸いです

また、実は、平成28年8月3日付けにて、国土交通省 土地・建設産業局 建設業課法規係から、公印入りの、下記のような回答(当方からのノーアクションレターに対するもの)もいただきました。

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したがいまして、これらを総合して、改めて「解体工事」の定義をするならば、以下のとおりとなります。

①「建築一式工事」により建設されたものではあるが、民家や小屋などの小規模な建築物の解体のみを行う工事(総合的な企画、指導、調整の必要のない解体工事)

複数(2以上)の「専門工事」における「解体」で構成される工事

 

 

 

平成28年6月1日から施行された改正建設業法。job_tobisyoku

許可業種が、これまでの28業種から一つ増えて29業種になりました。増えたのは「解体工事業」。「とび・土工・コンクリート工事」から分離されました。ところが、この「解体工事業」の定義が今一つよく解りません。国土交通省が一応「定義のようなもの」や「工事の例示」などを示していますが、しかし、それが判然としません。

「解体工事」とはいったいどんな工事を指すのか・・・これがわからなければ、その「解体工事業」の許可を取得しようとするときの「実務経験」に影響を及ぼしますし、入札参加資格審査申請時に必須の経営事項審査申請の際の「工事経歴」にも影響を及ぼし、当該審査の評点に多大な影響を及ぼすこととなります。

以下、この「解体工事」とはいったいどんな工事を指すのか、その「定義」について考察するとともに、「解体工事」と「一式工事」との区別、さらには、役所の、つまりは公共工事における「解体工事」の発注の現状に鑑み、ちょうどよい機会なので、その発注の仕方を変えるべきではないのかという提言をしたいと思います。

「解体工事」の定義

これまで「解体工事」は、建設業許可業種の一つである「とび・土工・コンクリート工事」の中に含まれていました。(建設業法第二条第一項の別表の上欄に掲げる建設工事の内容を定める告示(以下「告示」といいます。)(昭和47 年建設省告示第350 号)及び建設業許可事務ガイドライン(以下「ガイドラインといいます。)(平成13 年4 月3 日国総建第97 条)における第二条関係)そこでは、「工作物の解体を行う工事」・「工作物解体工事」となっていました。

非常にシンプルかつ解りやすい「定義」のようですが、しかし、実は、この「工作物解体工事」というのが「土木一式工事」及び「建築一式工事」の「定義」である「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物・建築物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)」というものとどのような差異があるのかについて正直解りにくかったという事実があります。つまり、「土木一式工事」及び「建築一式工事」の「定義」における「土木工作物・建築物を解体する工事」と「とび・土工・コンクリート工事」中の「解体工事」の「定義」である「工作物を解体する工事」の違いです。なお、「建築物」とは、 土地に定着する「工作物」のうち屋根及び柱若しくは壁を有するものであり、つまり「建築物」は「工作物」に含まれるわけです。そうすると、同じ「工作物」という文言を含む「土木一式工事」については置いておくとして、「工作物を解体する工事」は「建築物を解体する工事」を含むわけで、ここに「建築一式工事」と「とび・土工・コンクリート工事」中の「解体工事」との差異の不明確さがあったのです。

しかしながら、よく見てみると、「土木一式工事」及び「建築一式工事」の「定義」には、「総合的な企画、指導、調整のもとに」という文言が入っています。となれば、「土木一式工事」及び「建築一式工事」と「とび・土工・コンクリート工事」中の「解体工事」との違いは、同じ「工作物」を解体する工事であっても、「土木一式工事」及び「建築一式工事」のほうは「総合的な企画、指導、調整のもとに」工作物(建築物)を解体する工事であり、「とび・土工・コンクリート工事」中の「解体工事」は、その「総合的な企画、指導、調整のもとに」というものが必要のない解体工事である、ということがわかります。

事実、「解体工事業」が業種追加されたことにより近時改正された「告示」及び「ガイドライン」においては、「解体工事」とは「工作物の解体を行う工事」であり、工事の区分の考え方として「それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。」となっています。

つまり、「解体工事」とは、その「定義」とは、「それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事及び総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事以外の解体工事」ということになるわけです。kaitai

「総合的な企画、指導、調整」とは・・・

さて、「解体工事」の「定義」ができました。これで一件落着、懸案事項はなくなった・・・としたいのですが、実は、ここからが問題なのです。

今度は、「一式工事」である「解体工事」と「解体工事業」の「解体工事」との差異であるところの「総合的な企画、指導、調整」の「定義」について考えなければなりません。

ちなみに、本稿執筆現在、当該「総合的な企画、指導、調整」の意義、つまりは、「一式工事」である「解体工事」の「定義」及びその「事例」として、国土交通省の担当部署は「総合的な企画、指導、調整のもとに行われる解体工事とは、その事例として、建物の場合、当該建物を解体し及びその後に新築する工事を一体として請け負う場合というものが挙げられる。」という見解を出しています。

つまり、換言すれば、どんなに規模が大きいものであれ、どんなに施工金額が大きいものであれ、目的物を「解体するのみの工事」は「一式工事」ではなく「解体工事」に該当し、逆に、小屋や民家一棟などどんなに規模が小さいものであれ、目的物を「解体し及びその後に新築するという工事」が「一式工事」であるということです。

ここで一つの結論にたどり着きました。それは「解体のみ行う工事」が「解体工事」であり、「解体と新築の両方を一体で請負って行う工事」が「一式工事」であるというものです。

さて・・・果たしてこのような「定義」でよいのでしょうか? 「総合的な企画、指導、調整」という「定義」はこのようなものでよいのでしょうか?

実は・・・国は、当該「総合的な企画、指導、調整」の「定義」を、建設業法第22条3項の、いわゆる「一括下請け禁止」条項の説明において、「元請が実質的に関与していれば一括下請けさせたことには該当しない」として当該「実質的に関与」について、『施工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するための工程管理及び安全管理、工事目的物、工事仮設物、工事使用材料等の品質管理、下請負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監督等』ということを「総合的に企画、指導、調整」ということの具体的事項として挙げることにより「定義」しています。

ということは、「総合的に企画、指導、調整」ということは、必ず「解体と新築の工事の施工を一体として請負う」ということのみならず、つまり、それは単なる一例にしか過ぎず、大規模な工事であって、数次の下請人を使用し、長期にわたり、かつ綿密な施工計画を必要とする、したがって請負金額も相当な額に上る、というような「解体工事」であれば、この「総合的に企画、指導、調整」のもとに行われる「解体工事」ということになるのではないでしょうか。

ちなみに・・・

滋賀県土木交通部管理課建設業係が平成28年3月15日(火)、同17日(木)に業者向けに行った「建設業法改正説明会【H28.6.1 解体工事業の新設】」の資料には、明確に「ビル、マンションなどの解体→【建築一式工事】」と記載されています。

また、三重県県土整備部建設業課が発出している資料「解体工事業の新設にかかる業種追加のご案内について(詳細版)平成28年5月31日にも、下記のように掲載されています。

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さらには、実は、私の事務所所在地である千葉県においても、千葉県県土整備部建設・不動産業課担当者により、平成28年3月に行われた行政書士向け建設業法改正(解体工事新設に係るもの)の説明会用の資料「解体工事業新設に係るQ&A」においても、

「一式工事で建設した土木工作物や建築物の解体は全て一式工事に該当するのか。」の問いに対して、

『一式工事で建設した土木工作物や建築物の解体については、あくまで解体時に総合的な企画、指導、調整が必要であれば一式工事に該当し、不要であれば解体工事に該当します。」と回答が記載されているのです。

では、最後に決定打を。

「解体工事業」の新設につき、国土交通省土地・建設産業局建設業課が告示案とガイドライン案改正に際して行ったパブリック・コメントの結果(平成26年12月25日付け)には、以下のように記載されています。


【頂いたご意見の概要】

建築一式工事の区分の考え方に、「総合的な企画、指導、調整のもとに、ビルやマンションを解体する工事は、「建築一式工事」に該当する」と記載するべき。

【ご意見に対する考え方】

告示において、建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)」であることが示されておりますので、ガイドラインには記載しておりません。


つまり、「告示」においてすでに「総合的な企画、指導、調整のもとに、ビルやマンションを解体する工事は、建築一式工事に該当する」旨を書いているのだから、ガイドラインには重複記載はしません、ということです。

ビルやマンションなどの大規模な建築物の解体工事に「総合的な企画、指導、調整」が必要のないものなどあるのでしょうか? そもそも、今般の「解体工事業」の新設は、いみじくも国が法改正の理由として示しているとおり、当該ビルやマンションなどの大規模建築物の解体工事における①労災事故を防止するための安全管理、施工管理を確保するため、②現場環境(騒音・振動等)・地球環境(アスベスト飛散防止・廃棄物処理等)に十分に配慮する技術の確保のため、③工事の質を確保するための当該工事の工法の専門的・技術的知識を持った技術者の配置の必要性のため、というものがその目的だったのですから。

国土交通省が示した今般の建設業法改正(「解体工事」の新設」)の背景等を説明するための資料にも、以下のとおりの記載があります。これが「解体工事」の一般的な流れということであれば、民家などの小規模な建築物の「解体工事」だって、かなりの企画、指導、調整が必要だと思います。ましてや、ビルやマンションなどとなれば。。。

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出典:『解体工事に求められる技術者資格について(国土交通省)』

いかがでしょうか。国は、はっきりと答えを出すべきです!!

「解体工事」と「一式工事」の判別法(まとめ)

ということで、ようやく結論が出せそうです。つまり、「解体工事」と「一式工事」の区別です。

以下のとおりです。

◇一式工事・・・

① ビルやマンションなどの大規模な建築物や橋やダムなどの大規模な土木工作物を解体する工事(総合的な企画、指導、調整のもとに行われる解体工事)

② 民家や小屋などの小規模な建築物を解体し及び新築することを一体として請負い、それを施工する工事(総合的な企画、指導、調整のもとに行われる解体工事)

◇解体工事・・・

①「建築一式工事」により建設されたものではあるが、民家や小屋などの小規模な建築物の解体のみを行う工事(総合的な企画、指導、調整の必要のない解体工事)

自治体による「解体工事」の公共工事における発注の仕方の問題点

さて、「解体工事」と「一式工事」の区別ができたからといって、実は、まだ安心できません。

それは、公共工事における「解体工事」の発注の仕方が明らかに「おかしい」からです。

これは、微力ながら、全国の主要自治体や千葉県における過去5年間(経験的には過去20年ほどですが・・・)の発注状況や今後の発注の見通しとして公表されているものや入札公告などを調査した結果です。

どういうことかと言いますと、自治体により「解体工事」についての発注業種が「とび・土工工事」だったり「建築一式工事」だったりするからです。(※平成28年5月31日までは、工作物解体工事は「とび・土工・コンクリート工事」)

つまり、各自治体は、建設業の許可業種における「工事」の「定義」を、各々が勝手に決定し、悪く言えば「無視」して、発注をしているということです!

これがどういう意味をもつのか・・・

それは、「とび・土工・コンクリート工事」ではなく、「建築一式工事」のみで自治体に登録している業者は、「とび・土工・コンンクリート工事」として発注される「解体工事」には参加できないということ、逆に、「とび・土工・コンクリート工事」のみで自治体に登録している業者は、「建築一式工事」で発注される「解体工事」には参加できないということになる、ということです。

それならば、両方登録すればいいじゃないか、というご意見があります。しかしこれは現場を無視したいささか乱暴なご意見です。

そもそも、「とび・土工・コンクリート工事」と「建築一式工事」は、土木系と建築系という全く異なる種類の工事です。したがって、当該それぞれの工事に従事・配置する技術者の資格や経験、そして「下請けのためのもの」と「元請のためのもの」という許可の種類としても明白に異なるものです。

このような異なる環境・状況下において、「2つ持ってればいい。2つ登録すればいい。」ということには単純にはなりません。

そして何と言っても、経営事項審査において、当該「解体工事」の計上を「とび・土工・コンクリート工事」として計上するのかそれとも「建築一式工事」として計上するのか、という最も悩ましい問題に突き当たるのです。

公共工事の受注においては、当該受注金額が大きいほど格付け(ランク)が上のものが必要になります。業者は当然受注金額の大きい格付け(ランク)をとりたいと思います。そしてその格付け(ランク)を上げるためには、概して完成工事高を多くしなければなりません。つまり、完成工事高の額は、その格付け(ランク)に大きな影響を及ぼすのです。

つまり、Aという自治体では「解体工事」を「とび・土工・コンクリート工事」で発注しているので、Aという自治体の「解体工事」を受注するためには「とび・土工・コンクリート工事」の格付け(ランク)を少しでも上げるためには「解体工事」の完成工事高を「とび・土工・コンクリート工事」に計上しなければならない。しかし、Bという自治体では「解体工事」を「建築一式工事」で発注しているので、「解体工事」の完成工事高を「建築一式工事」に計上しなければならない。A自治体にもB自治体にも、いやいやそのほかの複数の自治体にも入札参加登録して公共工事を受注したいのに、いったい、これではどうしたらいいのか! ということになるのです。否、そもそも、恣意的に工事を振り分けて計上してもよいのか、という問題なのです。

さらに悲劇的なのは、経営事項審査申請の受審時における都道府県の取扱いです。

自治体が「とび・土工・コンクリート工事」として発注した「解体工事」の完成工事高を「とび・土工・コンクリート工事」に計上したら、当該受審時に、「これは規模も大きいし、金額も億を超えているし、建築一式工事に計上してください。え?許可持ってないの? じゃあ、その他工事ですね。。。ということは、点数(P評点のこと)付かないから。あ、発注は各自治体によって違うから。そのとおりにはならないよ。」などと言われることは普通にあります。実は、発注者が当該審査をしている自治体自身だったというオマケも付くこともあります。

このような事態を予め想定して、我々行政書士は、お客様が受注したいと思っている複数の自治体について、それぞれの自治体がどの業種で「解体工事」を発注しているのか、そのためにはどの業種にどれだけ「解体工事」の工事高を計上すれば格付け(ランク)が上がるのか、あるいは上がりすぎないで確実に受注できる範囲に収まるのか、などということをシミュレーションも含めて行っています。

しかし、これは、私は決して「当たり前」のことだとは思いません。そもそも、自治体により、「工事」の「定義」が異なるなどということ自体、不自然、不条理、不可思議なことではないでしょうか?

そんなことが通用するのであれば、建設業許可制度自体、業種の区別、工事の区別自体が無意味なものになるからです。

そこで、提言です。

「国も含め各自治体は、国の告示及びガイドラインそしてその解釈のとおりに工事の定義をなして公共工事の発注業種を統一すること。それが困難であるのであれば、業種別に発注の際の基準を設け、それを公表すること。」

以上を提言します!

ちなみに、鳥取県は以下のようになるようです。(平成29年度から)

鳥取県発注工事における解体の区分

建設業の許可区分

県の発注工種

(入札参加資格)

解体にかかる工事内容の例示
土木一式工事

土木一般

(注1)

 旧橋撤去、その他大規模な土木工作物の解体
建築一工事 建築解体  学校や3階建以上のビルなど大規模な建築物の解体
解体工事

解体工事

(注2)

 平屋又は2階建であって1棟の延べ床面積が300㎡以下の建築物(棟が複数の場合も含む)、工作物又は浄化槽の解体

*上記に該当する場合でも、難易度により土木一般又は建築解体で発注することがある。

注1:平成28年度までは、土木解体で発注。(H29から土木解体は土木一般に統合)

注2:平成28年度までは、とび等一般で発注。(解体工事の許可区分新設による変更)

出典:『解体工事(許可・入札参加資格)新設に係る質疑(鳥取県県土総務課)』より

まあ、これならば解りやすいですが・・・。

(おわり)

 

 

 

 

 

 

 

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