法改正・新制度について

改正民法の要点

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Ⅰ 改正の経緯・理由(概要)

約120年ぶりの大改正!

1896(明治29)年に制定(財産法)以来、1945(昭和22)年の家族法の改正はありましたが、今般の債権法関係の改正は、当該制定以来約120年ぶりの大改正です。

2006(平成18)年の改正の私的検討委員会発足による実質的な論議から始まり、2015(平成27)年3月31日に、第189通常国会に改正法案が提出されました。(※平成27年6月現在、国会が“迷走”している関係で当該改正法案は審議に入れない状態です。。。)今後は、成立後3年の周知期間を経て、施行されます。

なお、「家族法」については、今般の法案には含まれていません。

今般の改正のポイント

今般の改正のポイントは、大きく4つあります。

1 判例の明文化

これまでの判例で積み上げてきたルールを、条文化しました。

民法制定以来、わが国の裁判実務では、多くの判例が形成されてきました。現在の実務は、この判例をもとに動いています。しかしながら、判例は、条文から読み取ることはできません。このため、民法を国民一般に分かりやすいものとするべく、判例法理等を明確化する必要があることから今般の改正となりました。

2 用語の平易化

難解だった用語をわかりやすい言葉に変更しました。

従来、法律用語は国民一般にとっては難解であったところ、特に民法という身近なルールを定めている法律にあって、そこに使われている用語が難しくてよくわからないということではいけません。わかりやすい言葉、つまりは一般的に使われているような、従来の難解な用語を現代の言葉、表現に置き換えるというような変更を行いました。(例:「瑕疵」(かし)⇒「契約内容に適合しない」)

3 現実の社会・経済変化への対応

取引形態の多様化や複雑化への対応をはかりました。

現代における取引形態は、消費者重視という側面はさることながら、それによる様々な契約形態が存在し、そしてそれは複雑化しています。このような現状において、現行法ではその変化には当然ながら対応できないことから、現代の多様化、複雑化している取引形態への対応をはかる必要があったのです。

4 国際的取引ルールとの整合

企業取引のグローバル化に対応させました。

世界の国々で民法、特に債権法(契約法)が改正されている中で、日本の民法が110年以上前の法律ということになると、世界の人々には理解されにくいことは明白です。結果として、国際取引における準則法がわが国の法律ではなく、外国の法律となるケースが多くなります。このため、企業によっては、外国法の調査費用など余計にコストがかかるとともに、リスクの判断が不透明になるといわれています。このため、わが国の民法を、世界の人々に分かりやすくするためにも当該改正は必要だったのです。

 Ⅱ 主な改正項目とその概要

消滅時効について

●債権は、債権者が「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年間行使しないとき、又は、「権利を行使することができる時」(客観的起算点)から10年間行使しないときは、時効によって消滅するとされ、消滅時効制度が統一されました。このほかにも、生命・身体侵害の損害賠償請求権の消滅時効についての規定が新設されたり、改正がなされました。

図解すれば以下のようになります。

 行為の別 →  債務不履行※「安全管理義務違反」含む 不法行為
 債権の別 ↓ 主観的起算点 客観的起算点 主観的起算点 客観的起算点
一般債権  5年 10年 3年 20年

 生命・身体侵害の

損害賠償権

 5年 20年  5年 20年

法定利率について

●法定利率が、年5%から3%に引き下げられ、さらに、法定利率に“変動制”を導入しました。

<法定利率の“変動制”の仕組み>

◎法定利率が「上がる」場合

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◎法定利率が下がる場合

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【出典:法務省法制審議会 – 民法(債権関係)部会
「民法(債権関係)の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討(17)」資料 81B】

保証債務について

●事業のために負担する借入(「事業性借入」)を対象とする個人保証、個人根保証(※「根保証」とは、特定の債権者と特定の債務者との間で将来にわたって行われる種々の取引から生ずる不特定多数の債務を将来にわたって保証人が保証するというもの。)は、保証契約の締結前1か月以内に、公正証書で「保証債務を履行する意思」を確認(公証人に対して口授する)しなければ原則無効とされました。

また、保証契約締結時における保証人になろうとする者に対する主債務者の情報提供義務も新設されました。

契約の成立について

●「申込み」の定義について、「申込み」は、①契約内容を示した意思表示であること、②契約の締結を申し入れる意思表示であることが必要であること、と規定しました。これは「申込みの誘引」との区別を明確化しようとして規定されたものです。

●いわゆる「隔地者間の契約成立時期」を、現代のメール等の通信手段の発達にも鑑み、「発信主義」から「到達主義」に変更しました。

定型約款について

●初めて「約款」について、その定義やそれを変更する際の手続き等について規定しました。

 1  不特定多数の者を相手方として行う取引であること

※「相手方の個性に着目せずに行う取引」であることが前提とされています。

 2  当該取引の内容の全部又は一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること
 3  契約の内容とすることを目的として作成された条項の総体であること

なお、いろいろな契約書のどれが「約款」に該当するのか、しないのかについては今後は具体的な取引や契約ごとに判断することとなります。

 

賃貸借について

●賃貸借の存続期間の上限を「50年」に伸長しました。

●賃借人の原状回復義務に関するルールを明文化し、さらに原状回復義務の対象範囲にはいわゆる“通常損耗”が含まれないことも明文化しました。(※この規定は、「居住用」建物の賃貸借には限りません。)

●初めて「敷金」についてのルールを明文化しました。

 

このほかにも多数の改正点があります。

 

 

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